添乗員ライターがお届けする旅行情報。今回は台湾旅行で気になる「水」の問題について、詳しく解説していきます。海外旅行で最も気になることのひとつが、現地の水道水が飲めるかどうかという点です。台湾は親日国として知られ、日本から飛行機でわずか3〜4時間という近さから、多くの日本人旅行者に人気の渡航先となっています。しかし、水事情については日本とは大きく異なる面があり、事前に知っておくべき情報がいくつか存在します。
台湾の水道水、実は飲めないって本当?
まず結論をお伝えすると、台湾の水道水は直接飲まないほうが賢明です。これは台湾政府の環保署も公表している事実で、現地の台湾人もほとんどが水道水をそのまま飲むことはありません。
台湾の浄水施設で処理された水は、実は国際基準をクリアしており、浄水場の時点では飲用可能なレベルに達しています。水質検査の不合格率は近年わずか0.08%というデータもあり、浄水技術自体は日本と同等レベルといえるでしょう。
しかし問題は、浄水場から各家庭に届くまでの過程にあります。台湾では主に二つの理由から、水道水の直接飲用が推奨されていません。
水道管の老朽化問題
第一の理由は、水道管の老朽化です。台湾の水道インフラは日本統治時代に建設されたものも多く、配管の一部が古くなっています。きれいな水が浄水場から送られてきても、古い配管を通過する過程で水質が変化してしまう可能性があるのです。特に建物内部の配管については、建物によって状態が大きく異なります。
貯水タンクの衛生管理の課題
第二の理由は、貯水タンクの衛生状況です。台湾では断水に備えて、多くの建物が貯水タンク方式を採用しています。日本では貯水タンクの年1回の点検が義務付けられていますが、台湾では環保署の「アドバイス」にとどまっており、必ずしも厳格に守られていません。このため貯水タンク内で雑菌が繁殖している可能性も考えられます。
地域による水質の違い
台湾の水には地域差があることも知っておくべき重要なポイントです。台湾の水は北部が軟水、南部が硬水という特徴があります。具体的には、台北・新北・基隆エリアは硬度80〜160mg/Lの軟水から中硬水で、日本の水に比較的近い性質です。一方、新竹・彰化・雲林・高雄エリアは160〜300mg/L以上の硬水から超硬水となっています。
特に高雄周辺は硬度600〜700mg/Lという超硬水で、マグネシウムを多く含むため下剤作用があり、飲用には適していません。硬水に慣れていない日本人が飲むと、お腹を壊してしまう可能性が高くなります。
歯磨きやうがいは大丈夫?水道水の安全な使い方
多くの旅行者が気にするのが、歯磨きやうがいでも水道水を使ってはいけないのかという点です。この点については、基本的に過度に神経質になる必要はありません。
台湾の水道水は、飲用には適さないものの、うがいや歯磨き程度で口に含む分には健康上の大きな問題はないとされています。命に関わるような危険な細菌が含まれているわけではないため、通常の健康状態であれば問題なく使用できます。
ただし、小さなお子様連れの場合や、胃腸が弱い方、体調が優れない方については、念のため礦泉水や天然水を使用するほうが安心です。旅行中は環境の変化で体調を崩しやすいため、少しでも不安がある場合は購入した水を使うとよいでしょう。
洗顔についても水道水で問題ありません。台湾の水道水は世界的に見れば比較的清潔な部類に入り、インドなど一部の国のように極端に濁っているわけではありません。
コンビニで買えるペットボトル水の種類を徹底解説
台湾旅行中の水分補給には、コンビニやスーパーでペットボトルの水を購入するのが最も手軽で確実な方法です。台北市内には特にファミリーマートやセブンイレブンが至る所にあり、日本以上にコンビニ密度が高いといえます。
しかし、台湾のペットボトル水には大きく分けて三つの種類があり、それぞれ価格も品質も異なります。購入時には必ずラベルを確認することが重要です。
自來水(ズーライシュイ):濾過した水道水
「自來水」とは水道水を意味する中国語です。この表記があるペットボトルは、水道水を超微細なフィルター(RO膜)で不純物を除去し、飲用可能にしたものです。ボトルドウォーターとも呼ばれます。
価格は500mlで約10〜20元(約50〜100円)と非常にリーズナブルです。安全性には問題ありませんが、味の面では天然水やミネラルウォーターに比べると、やや雑味を感じることがあります。元が水道水であることを理解した上で、コストを重視する場合に選ぶとよいでしょう。
緊急時や台風シーズンなどにミネラルウォーターが売り切れてしまった場合にも、自來水のペットボトルは比較的入手しやすい傾向にあります。
礦泉水(コワンチュエンシュイ):ミネラルウォーター
「礦泉水」はミネラルウォーターを意味します。ただし注意すべき点として、台湾のミネラルウォーターには後から人工的にミネラルを添加したものも含まれます。必ずしも天然水というわけではありません。
価格は500mlで約20〜30元(約100〜150円)が一般的です。自來水より若干高めですが、味わいや品質を考えると、通常の旅行ではこちらを選ぶとよいでしょう。
台湾は基本的に硬水の地域が多いのですが、中には軟水に近い飲み口のなめらかなミネラルウォーターもあります。初めて飲む銘柄は、少量サイズで試してから大容量を購入すると失敗が少ないでしょう。
天然水:純粋な天然のミネラルウォーター
ラベルに「天然水」や「山泉水」などと記載されているものは、天然の湧き水や地下水を使用した本格的なミネラルウォーターです。台湾のウイスキー「KAVALAN(カバラン)」の原料にも使われている雪山山脈の地下水など、品質の高い水源から採取された製品があります。
価格は500mlで30元以上(約150円以上)となり、三種類の中では最も高価ですが、その分味わいは格別です。若干の硬さはありますが、天然ならではの自然な飲み口が特徴です。コンビニだけでなく、スーパーマーケットでも販売されています。
長期滞在の場合は、5リットルの大容量ペットボトルも販売されており、こちらは約200〜300元(約1,000〜1,500円)で購入可能です。
海外ブランドの水も選択肢に
台湾のコンビニでは、エビアン(evian)やボルヴィック(Volvic)などの有名な海外ブランドのミネラルウォーターも販売されています。価格は台湾製品の1.5倍程度と割高になりますが、飲み慣れた味を求める方には安心です。
特にボルヴィックは硬度が低い軟水で、日本人の口に合いやすい製品です。初日だけは海外ブランドを選び、徐々に台湾製品を試してみるという方法もよいでしょう。
ペットボトルの見分け方:ラベルチェックのポイント
台湾でペットボトル水を購入する際には、必ずラベルの「原料」または「水源」という項目を確認しましょう。この部分に水の種類が記載されています。
自來水と表記されていれば濾過した水道水、礦泉水であればミネラルウォーター、天然水・山泉水と書かれていれば天然のミネラルウォーターです。中国語が読めなくても、これらの漢字は日本人にも理解しやすいため、購入時の判断材料になります。
また、価格も大きなヒントになります。極端に安い(500mlで20元以下)ものは自來水である可能性が高く、30元前後であれば一般的なミネラルウォーター、それ以上であれば天然水やプレミアム製品と考えてよいでしょう。
ドラッグストアの屈臣氏(ワトソンズ)、康是美(コスメド)、寶雅(POYA)などでも水は販売されており、化粧品などのお土産購入と合わせて立ち寄ると効率的です。
給水器の活用術:台湾ならではの便利システム
台湾には日本ではあまり見られない、公共の給水器システムが充実しています。空港、駅、デパート、図書館、病院など、あらゆる公共施設に無料の給水器が設置されており、旅行者でも自由に利用できます。
台湾の給水器の特徴は、冷水・温水・熱湯の三段階の温度が選べることです。ボタンには「冰水(ビンシュイ)=冷たい水」「溫水(ウェンシュイ)=お湯」「熱水(ルーシュイ)=熱湯」と表記されており、英語表記もあるため利用しやすくなっています。
ただし、紙コップは用意されていないため、マイボトルや水筒を持参する必要があります。環境に配慮し、繰り返し使える容器を用意しておくと、旅行中のコスト削減にもつながります。
給水器の水は浄水されており、味も問題ありません。ペットボトルを毎回購入するとゴミも増えますし、費用もかさみます。エコで経済的な給水器の利用は、長期滞在や頻繁に台湾を訪れる方には特に便利です。
桃園国際空港や台北松山空港にも給水器が設置されているため、出国前に水筒に水を補給しておくとよいでしょう。
台湾のホテルの水事情:無料ペットボトルサービス
台湾の多くのホテルでは、客室に無料の礦泉水が用意されています。ペットボトルのサイズは台湾規格の600〜650mlで、日本の500mlより大きめです。
中級以上のホテルでは、一日あたり2〜4本のペットボトルが提供されることが一般的です。ブラザーホテル(兄弟大飯店)のように、冷蔵庫内の飲料すべてが無料というサービスが充実したホテルも存在します。
ホテルチェックイン時に、無料の水の本数や補充のタイミングを確認しておくと安心です。朝食時にペットボトルを持ち出せるホテルもありますので、日中の観光用に活用できます。
ただし、ゲストハウスや格安ホテルでは無料の水が提供されない場合もあるため、予約時に確認しておくか、初日に近くのコンビニの場所を把握しておくことをおすすめします。
レストランでの水事情:持ち込みOKの文化
台湾のレストランでは、日本のように無料のお冷が提供されることは少なく、基本的に飲み物は別途注文する必要があります。ただし、高級レストラン以外では、自分で購入した飲み物を持ち込むことが比較的自由に認められています。
夜市の屋台や小吃店(軽食店)では、多くの台湾人が「50嵐」などのドリンクスタンドで購入したお茶を持ち込んで飲んでいます。この文化は旅行者にとっても便利で、食事前にコンビニやドリンクスタンドで好みの飲み物を購入しておけば、食事代を節約できます。
ただし、高級レストランやホテルのレストランでは持ち込みが禁止されている場合もありますので、事前に確認するか、店内で飲み物を注文するのがマナーです。
台湾の気候は年間を通して暑い時期が多いため、こまめな水分補給は必須です。レストランでの持ち込み文化を上手に活用し、熱中症対策を心がけましょう。
台湾の水とお茶文化:ペットボトルドリンクの魅力
台湾はお茶の産地として世界的に有名で、コンビニで販売されているペットボトルのお茶も品質が高いことで知られています。烏龍茶、東方美人、凍頂烏龍など、台湾を代表する茶葉を使用した製品が豊富に揃っています。
ファミリーマートでは「Fami Collection」というプライベートブランドで、阿里山金萱や翠玉烏龍茶など珍しいお茶のペットボトルを販売しています。450〜500mlで50〜55元(約250〜280円)と、水よりは高価ですが、本格的な茶葉の香りと味わいが楽しめます。
特にユニークなのが、ペットボトルの底に生の茶葉が入っている商品です。飲み終わった後に水を足すと、薄めのお茶として再び楽しむことができます。環境にも優しく、お茶好きの方には特におすすめです。
ただし、台湾のペットボトルのお茶には砂糖が入っている製品も多いため、甘いのが苦手な方は必ずラベルで「無糖」の表記を確認しましょう。「無糖」「微糖」「半糖」「全糖」など、糖度が選べる製品もあります。
フルーツジュースも台湾ならではの魅力です。マンゴー、グァバ、パパイヤなど、南国フルーツを使ったドリンクがコンビニで手軽に購入できます。水分補給だけでなく、台湾の味覚を楽しむ意味でも、ぜひ試してみてください。
台湾旅行で水に困らないための準備リスト
台湾旅行を快適に過ごすために、水に関する準備をまとめました。出発前にチェックしておきましょう。
まず、マイボトルや水筒を持参すると便利です。台湾の給水器システムを活用すれば、ペットボトルの購入費用を大幅に削減できます。保温・保冷機能付きのボトルであれば、暑い気候でも冷たい水を楽しめます。
台湾は日本より気温が高く、特に夏場は35度を超えることも珍しくありません。こまめな水分補給を心がけ、脱水症状や熱中症を予防しましょう。観光中は常に水を携帯し、喉が渇く前に少しずつ飲むことが大切です。
地方や郊外に出かける予定がある場合は、リュックに予備のペットボトルを入れておくと安心です。台北市内に比べて、地方ではコンビニの数が少なくなります。
胃腸が弱い方は、整腸剤などの常備薬を持参しておくとよいでしょう。水が変わることで体調を崩す可能性もゼロではありません。また、最初の数日間は自來水ではなく、礦泉水や天然水を選ぶと安心です。
台湾の水と日本の深い歴史的つながり
台湾の水利事業について語る際、忘れてはならないのが日本人技術者・八田與一の存在です。台湾が日本統治下にあった1920年代から1930年代にかけて、八田與一は台湾南部に「烏山頭ダム」という当時世界最大規模のダムを建設しました。
このダムは台南地域の農業用水を確保し、不毛の大地を台湾有数の穀倉地帯に変える大事業でした。八田與一は単なる技術者ではなく、台湾の人々と共に働き、労働者の生活環境改善にも尽力した人物として知られています。
現在でも烏山頭ダムには八田與一の銅像が建てられており、毎年命日には慰霊祭が行われています。台湾映画『KANO』では大沢たかおが八田與一を演じ、日本でも注目を集めました。台南を訪れる機会があれば、ぜひ烏山頭ダムを訪れ、日台の歴史的つながりを感じてみてください。
台湾の水利システムの基礎には、このような日本の技術と台湾の努力が積み重なっています。現代の台湾で安全な水が供給されている背景には、長い歴史があることを知っておくと、旅がより深く味わい深いものになるでしょう。
まとめ:安全で快適な台湾旅行のために
台湾の水道水は直接飲用には適していませんが、適切な知識と準備があれば、水の問題で困ることはありません。コンビニやスーパーで手軽に礦泉水が購入でき、公共の給水器も充実しています。
ペットボトル水を購入する際は、ラベルの「自來水」「礦泉水」「天然水」の表記を確認し、予算と好みに応じて選びましょう。基本的には礦泉水を選んでおけば安心です。
歯磨きやうがいは水道水で問題ありませんが、体調に不安がある場合はミネラルウォーターを使用してください。レストランでの飲み物持ち込みが自由な文化も活用し、こまめな水分補給を心がけましょう。
マイボトルを持参し、給水器を活用すれば、環境にも優しく経済的です。台湾のお茶文化を楽しむためにも、ペットボトルのお茶やフルーツジュースにも挑戦してみてください。
台湾は食事が美味しく、観光スポットも豊富で、人々も親切な素晴らしい旅行先です。水に関する正しい知識を持って準備すれば、より快適で安全な旅行が楽しめます。
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